
「酵素ダイエット」や「酵素サプリ」「酵素ドリンク」など、「酵素」という言葉がよく聞かれるようになりました。なんとなく健康や美に良いイメージがある酵素ですが、実際酵素は、どんなもので、どんな働きがあり、どんな役割があるのでしょうか。この記事では、酵素にスポットを当て、解説していきます。

この記事の監修医師
今泉明子先生
今泉スキンクリニック 院長
医学博士・日本皮膚科学会認定皮膚科専門医。聖マリアンナ医科大学卒業後、日本赤十字医療センターの皮膚科で皮膚科医としての経験を重ね、米・ニューヨークの大学で研究に従事。帰国後、都内の皮膚科クリニック院長を経て、六本木駅そばに今泉スキンクリニックを開業。ファーストクラスのホスピタリティとオーダーメイドの施術で、多くの人の「美しさ」を叶えている。また、年間7000症例以上の診療を行いながら、国内外の学会やセミナー、執筆活動も勢力的に行なっている。
今泉スキンクリニック:https://imaizumisc.or.jp/
酵素とは?
酵素は、タンパク質のひとつ。タンパク質というと、肉や魚を思い浮かべる人もいるかもしれませんが、酵素は、人間の体内で作られるタンパク質です。この酵素は、体の中で起こるさまざまな化学反応をスムーズにする役目があります。そのため、人間にとって不可欠な物質です。
酵素は、大きく2つに分けられます。1つ目は、人の体にある「体内酵素」。もう1つは外部から食べ物で取り入れる「体外酵素」です。
体内酵素には、「消化酵素」と「代謝酵素」が。体外酵素には「食物酵素」があります。体内酵素は、年齢ごとに1年で作られる量が決まっています。20代をピークに、徐々に量が減っていくため、食物酵素で補わなければなりません。
酵素の働きについて
酵素の種類には、「消化酵素」「代謝酵素」「食物酵素」の3つがあります。それぞれ、どのような働きをするのか見ていきましょう。
消化酵素
消化酵素は、胃や膵臓、小腸など消化器官から分泌される酵素です。体に取り入れた食べ物を吸収しやすいように消化、分解する働きがあります。
主な消化酵素には、次のようなものがあります。
- ・プロテアーゼ(タンパク質分解酵素):タンパク質をアミノ酸に分解する
- ・アミラーゼ(炭水化物分解酵素):炭水化物をブドウ糖に分解する
- ・リパーゼ(脂肪分解酵素):脂肪を脂肪酸に分解する
代謝酵素
体内に吸収された栄養素を体の細胞に届けるのが、代謝酵素です。代謝酵素により、全身の機能を安定させ、新陳代謝をよくする働きがあります。
人間の生命活動である、呼吸をする、運動をする、脳での思考、けがを治すといった場面でも代謝酵素は働いています。また、肌のターンオーバーを整えたり、老廃物の排出を促したりするのも代謝酵素の働きです。
食物酵素
食物酵素は、食べ物に含まれる酵素のことです。食物酵素の働きには、
- ・消化を助け、体内の消化酵素の無駄遣いを防ぐ
- ・消化酵素を節約することで、代謝酵素の量を増やす
- ・代謝酵素の働きをサポートする
があります。
食物酵素が含まれる食べ物は、生野菜、生のフルーツ、味噌や納豆、ぬか漬けなどの発酵食品などです。
酵素と身体の関係について
ここでは、食物酵素を摂取することで、身体にどのような影響をもたらすのかを解説していきます。
めぐりをサポート
食物酵素を摂取すると、消化酵素の無駄遣いを防げます。そうすると、酵素の分量を代謝酵素へ回すことができるので、代謝酵素が増えることになり、めぐりをサポートします。結果、食物酵素は、栄養のめぐりをサポートし美容にも嬉しい働きをしてくれるのです。また、消化吸収率も上がるので、体が栄養で満たされます。
体内環境をケア
酵素は、胃や腸内とも関係しています。食物酵素を摂ると、食べ物が胃と腸でしっかり消化され、腸内に残された消化物の量が減ります。そうすると、腸内の腐敗を進めたり炎症を起こしたり発がん性物質をつくり出すといわれる悪玉菌の発生が減り、 善玉菌と悪玉菌のバランスをサポートすることにつながるのです。
酵素の摂取方法について
酵素を摂取する方法は、2つあります。
1つは、生野菜、生のフルーツ、発酵食品を食べることです。これらから酵素を摂り入れる場合には、以下のことに気をつけてください。
- ・酵素は熱に弱いため、野菜や果物は新鮮なものを選び、生のまま食べる
- ・消化をスムーズにするため、よく噛む
- ・消化酵素がしっかり働くよう、食事量は腹八分にする
もう1つは、酵素食品で摂取する方法です。酵素食品には、サプリやドリンクなどがあり、手軽に摂取できます。
酵素サプリの選び方について
酵素サプリにはさまざまなものが販売されていますが、どれがよいのか迷ってしまうこともあるでしょう。より良い酵素サプリを選ぶポイントをご紹介します。
含有量を確認する
市販されている酵素サプリは、含有量がどれも同じというわけではありません。たくさん含まれているものから、ほどほどのものまでさまざまです。よって、パッケージの裏に記載されている含有量をチェックして、自分に適した量のサプリを選んでください。
なお、パッケージに含有量が記載されていないものは、含有量がわかりませんので、選ばないほうがよいでしょう。
添加物を確認する
酵素サプリを選ぶときには「無添加」のものを選ぶようにしましょう。添加物は、食品の加工や保存性を高めるために入っていることがありますが、体にとってあまり良い成分とはいえません。
添加物が入っているかどうかを確認するには、原材料一覧を見ます。食品衛生法により、食品添加物の有無の表示が義務付けられているため、そこを見るとわかるようになっています。
なるべくなら無添加のサプリを選びますが、どうしても添加物が入っているものが気になる場合は、添加物の量が少ないものを選ぶようにするのがおすすめです。
原材料一覧には、量が多いものから記載されています。なるべく材料の最後のほうに書かれているものを選ぶと、量が少ないものといえます。
飲みやすさ・続けやすさから選ぶ
どのようなサプリも、飲み続けやすいものがよいですね。以下の飲みやすさ、続けやすさのポイントをチェックし、自分好みのものを選んでください。
・サプリの形状は?(カプセルか粒か)
・1日に飲む回数は?
・1回の飲む量は?
・香りや味は?
製造方法を確認する
酵素には、熱に弱いという性質があります。製造中に加熱する工程があると、酵素が壊れてしまう可能性があるのです。しっかり酵素を摂りたいのであれば、非加熱のものを選ぶようにしましょう。
酵素についての質問
酵素について、よくある質問に回答します。
Q:酵素の摂取に制限はありますか?
A:酵素の摂取に制限はありません。ただし、歳を重ねるごとに、体内酵素は作りにくくなりますのでより積極的に食物酵素を補う必要があるため、サプリなどで補うようにするとよいでしょう。
また、市販されている酵素サプリやドリンクなどについては目安量がパッケージに記載されていますので、そちらを守って摂取するようにしてください。
Q:薬と併用しても大丈夫ですか?
A:薬と併用する場合は、かかりつけの医師、薬剤師に相談してから、摂取するかを決めたほうがよいでしょう。
酵素で美&健康をサポート!
人間の生命活動を支え、健康維持や美容に役立つ「酵素」。毎日の食事に生野菜やフルーツ、発酵食品を取り入れたり、酵素サプリなどを活用して、酵素生活をはじめてみませんか。